河野雅好の廃棄物・環境blog

ニュース番組の騒音測定の光景の間違い

2024年04月10日 11:39

騒音問題がニュース番組に取り上げられるとお馴染みの光景があります。リポーターが騒音計を発生源に向けデジタル表示を見ながら「今、80デシベルです」というもの。そして「このあたりの基準値は55デシベルです」と言いながら、いかに発生源からの騒音が大きいかを印象付けさせるのですが、この騒音測定のデータは全く無意味です。測定方法も、評価方法(基準値との比較)も間違っており、ニュース番組としては正確性を欠く報道なのではないかと私は感じています。


数千円の騒音計でももう少し意味のある騒音の測定方法があるので紹介します。まず、ひとりは時計の針を見ながら5秒ごとに合図を送ります。もう一人が合図の瞬間の騒音計のデジタル表示を読み取り、紙に記録します。これを100回繰り返すことで、100個のデータを集めることができます。降順に並び替えて上位5つ目のデータを騒音レベルとして採用すれば、もう少し意味のあるデータになると思います。ただし、これと比較するのは騒音規制法の規制基準値です。環境基準値との比較は全く意味がありません。騒音の測定は、体温計で体温を測ったり、体重計で体重を測るのとは全く異なるものです。


執筆者:河野雅好

廃棄物処理施設設置・生活環境影響調査を手掛ける環境コンサルタント

行政書士・環境計量士・公害防止管理者・測量士

株式会社Midori代表取締役

株式会社Midori