破砕アセスで気にすること
2024年05月28日 15:46
日量5tを超える処理能力を有する廃プラスチック類、木くず、がれき類の破砕機を設置するには、生活環境影響調査が必要になります。「破砕アセス」と便宜呼ばせていただきますが、破砕アセスは廃棄物処理法に基づくアセスの中で最も難易度の低いものと位置づけられています。
「騒音と振動だけやっておけばいいんでしょ?」という風に事業者から言われることもよくあります。たしかにそのようなケースもありますが、破砕アセスで私が最も気にしてしまうのは、搬入搬出に使用する道路の現況の交通量なのです。
環境省の生活環境影響調査指針では、破砕の場合は施設の稼働に伴う騒音・振動以外にも、いくつかの項目を調査の検討の必要があると考えています。たとえば、粉塵の発生や施設排水(湿式破砕)などによる影響も検討が必要なのです。しかし、なんといっても厄介なのが、搬入搬出車両の走行に伴うNOx、SPMの問題なのです。
NOxとは窒素酸化物、SPMとは浮遊粒子状物質のことで、それが破砕施設とどう関係があるのかという声が聞こえてきそうですが、実は廃棄物運搬車両のマフラーから排気ガスとして大気中に排出されるのです。これらの現況把握の調査はそれなりに大変で、それなりの調査費用もかかりますので、破砕アセスだったとしても要注意なのです。
現況の交通量が非常に少ない道路を廃棄物の運搬に使用すれば、自動車排ガスの大気への影響は大きくなります。ですので、破砕アセスといえども現況交通量が気になって仕方がないわけです。
執筆者:河野雅好
廃棄物処理施設設置・生活環境影響調査を手掛ける環境コンサルタント
行政書士・環境計量士・公害防止管理者・測量士
株式会社Midori代表取締役