河野雅好の廃棄物・環境blog

廃棄物処理における「許可不要施設」とはなにか

2024年05月22日 10:11

環境展に参加していると「許可不要施設」という言葉を使う方にときどきお会いします。

この言葉だけを聞くと、廃棄物処理法の許可を受けることなく廃棄物を処分できる施設というイメージを抱くのではないでしょうか。


さも簡単に設置ができる施設と思われる方もいるかもしれません。

まず、「許可不要施設」の「許可」とはなんの許可であるのか、その言葉の定義を明確にしなければなりません。


許可不要施設といわれるとき、それが産業廃棄物であれば「産業廃棄物処理施設設置許可」を指している可能性があります。たとえば、廃プラスチック類の破砕であれば日量5tを超えない処理能力の破砕機であれば、これは「許可不要施設」ということになりそうです。


そういう話であれば、特別に「許可不要施設」などと謳う理由はなく、廃棄物処理施設(施行令7条に定められた施設)ではないと言えば済むわけです。私の見立てでは「許可不要施設」という言葉にはもう一つの意味がありそうです。


それは「廃棄物処理業の許可を受けることはできないが、施設設置許可が不要なので、自社物の処理であればという条件付きで、許認可の規制にかからずに処理ができる」ということです。たとえば、処分業の許可なしに自社の廃棄物を油化した油をボイラーの燃料にしているケースを想定します。油化は廃棄物処理ですが、自社物の油化なら許可は不要です。ところが、これを処分業として行うとなると、油化で本当に廃棄物処理が終了しているのかが問題になるのです。油化した油がまだ廃棄物かもしれない、と疑う余地が残っているため、油化するだけでは廃棄物処理業の許可をとることが難しいのです。このような事情から「許可不要施設」として設備を自社物専用に販売する必要性があるわけです。



執筆者:河野雅好

廃棄物処理施設設置・生活環境影響調査を手掛ける環境コンサルタント

行政書士・環境計量士・公害防止管理者・測量士

株式会社Midori代表取締役

株式会社Midori